矯正治療中は歯肉炎にも注意が必要

矯正治療中に起こりやすいトラブルと言えば、虫歯を思い浮かべる方が大半ではないかと思います。しかし矯正治療中のトラブルは虫歯だけではありません。歯ぐきが赤く腫れる「歯肉炎」にも要注意です。今回は、矯正治療と歯肉炎についてお話をいたします。

磨き残しで起こる歯肉炎

歯肉炎とは、歯ぐきが赤く腫れてブヨブヨとした状態を言います。健康な歯ぐきはピンク色で引き締まっていますが、歯肉炎になっている歯ぐきは赤く、指で触るとブヨブヨとした感触が伝わってきます。また赤く腫れた歯ぐきは歯ブラシの毛先が触れるだけでも出血してしまいます。歯ブラシが血で真っ赤になってびっくりしたことがある方もいらっしゃるでしょう。

これは磨き残しによりプラークが歯と歯ぐきの境目に付着したことによる炎症です。プラークは細菌の塊で、毒素を放出します。そのまま放置すると歯ぐき全体が腫れてしまいます。

また歯肉炎は比較的若い世代に起こり、矯正治療中にもよく見られます。特に小児矯正や中高生といった思春期と呼ばれる時期は、ホルモンバランスの影響で歯ぐきが腫れやすくなっており、矯正治療中に起こるトラブルの一つとも言えます。

ワイヤー矯正、マウスピース矯正に関係なく正しいブラッシングを心がけること

歯磨きのしにくさと言えばワイヤー矯正が思い浮かびますが、マウスピース矯正でも虫歯リスクがあることに変わりはありません。要は、「きちんと歯磨きができているかどうか」ということになります。

ガタガタの歯並びなどはどうしても歯磨きがし辛くなりますが、正しいブラッシングを行うことで歯と歯ぐきの境目の汚れはきちんと落とすことができます。

中高生など若い世代の歯肉炎は歯周炎(歯周病)に進行することはあまりありませんが、成人以降の歯肉炎は歯を支える歯槽骨が吸収される歯周炎へと進行しやすくなります。特に矯正治療中はどうしても歯磨きがしにくいため汚れが溜まったままになり、歯ぐき全体が腫れて歯周炎へと悪化してしまう可能性が高くなります。

矯正専門医院やかかりつけの歯科医院でブラッシング指導をしてもらえます。ワイヤー矯正の場合、歯ブラシだけでは汚れが落としにくいので歯間ブラシやフロスを使って装置周りの汚れを落とさなければいけません。分かりにくい場合や上手くいかないなど、矯正中のブラッシングの仕方に困ったときは歯科医院で教えてもらうことをお勧めします。マウスピース矯正も同じで、きちんと磨くことを意識して過ごす必要があります。

虫歯や歯肉炎などといった矯正治療中のトラブルを避けるためにも、正しいブラッシングを心がけましょう。

当院の矯正治療についてはこちら 桑名駅より徒歩5分 星野歯科医院

 

歯周病でも矯正治療はできる?

大人の矯正治療が注目を集めています。矯正治療というと、小さい子どもさんのイメージが強いかもしれませんが、決してそうではありません。成人してからでも矯正治療によって長年のコンプレックスだった歯並びを改善することは可能です。ただ大人になって気を付けたいのは歯周病です。歯周病になると歯がグラグラしてきますが、このような状態でも矯正治療を行っても大丈夫なのでしょうか。

歯周病の方が矯正治療を行うことのメリットとは?

実は歯周病の方が矯正治療を行って歯並びを整えることにはメリットが多いのです。矯正治療によって歯並びをきれいにすると、歯磨きがしやすくなり汚れが溜まりにくくなります。歯周病は歯と歯が重なった部分に溜まるプラークが原因になるため、その原因となる歯並びを改善することでプラークが溜まりにくくなり、口腔内の環境を維持しやすくなるのが大きなメリットとなるのです。噛み合わせも改善されるため、歯周病の進行の抑制にもなり見た目と健康を維持することができることは、今後の生活面においても非常に有益なものとなるでしょう。

まずは歯周病の治療を優先

歯並びを治したいけれど、歯周病と診断されてしまった・・・という方でも、実は矯正治療は可能です。そのためにはまず、歯周病の治療を優先する必要があります。

歯周病治療の基本は歯石除去とPMTCです。PMTCとは歯のクリーニングのことで、専用の薬剤などを使ってプラークをきれいに取り除き、口腔環境を清潔なものにする大切な処置です。歯石が歯肉縁下に付いている場合、手動の器具を使って取り除くなど歯周病治療を行います。歯周病によって残すことができない歯がある場合、抜歯をしなくてはいけないこともあります。歯周病の進行具合によっては矯正治療が難しいこともありますので、まずはどの程度歯周病が進行しているのかをよく相談しながら歯周病治療、そして矯正治療へと進めていくこととなります。

矯正を始める前に必ず歯周病のコントロールを行うこと

歯周病の方が歯周病治療を行う前に装置を付けていきなり歯を動かすと歯周病が悪化するリスクがあると報告されています。矯正治療をお考えの方はまず矯正相談に行かれると思いますが、ご自身が歯周病になっているという自覚がない方もいらっしゃるのではないでしょうか。矯正相談をした際に「歯周病になっている」と診断されてびっくりすることと思います。

もし歯周病と診断されても気を落とさず、しっかりと歯周病治療を行いましょう。きちんと治療をすれば矯正治療も可能です。逆に、矯正治療を行うことでプラークコントロールがしやすくなり、歯周病の進行を抑制できる可能性が高まります。まずはかかりつけの医院でよく相談をしてみて下さいね。

 

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