お口の中に起きるトラブルと言えば虫歯と歯周病で、どちらも歯を失う可能性がある怖い病気です。虫歯も歯周病も、細菌による感染症で、細菌が棲みつきやすい環境が整ってしまうことで、さらに発症や悪化のリスクが高くなってしまます。
その口内環境を作り出す原因のひとつに、歯並びの悪さがあります。では歯並びが悪いことで、なぜトラブルが起きやすくなってしまうのでしょうか。
虫歯や歯周病を引き起こす元凶はプラーク
プラークとは、虫歯や歯周病を引き起こしてしまう最も大きな原因です。プラークは細菌が作り出す物質で、いわば細菌の塊です。お口の中には非常に多くの細菌が住んでおり、口内環境が悪いことでプラークが作られ、トラブルが起きてしまいます。
プラークは主に歯と歯の境目に付着します。白っぽくネバネバとした物質のプラークは、うがいをしただけでは取れません。そこへ虫歯菌や歯周病菌が棲みつくことで、虫歯や歯周病を引き起こしてしまうのです。
なおプラークはご自身の歯だけでなく、入れ歯や舌にも付着します。
プラーク付着の原因
細菌の塊であるプラークが作られるのは、主にブラッシング不足が原因です。歯磨きが十分に行われていないと食べかすが歯と歯の間などに残り、プラークが形成される環境が整ってしまいます。
そして頑張って歯磨きをしていても、完璧に汚れを落とすことは困難で、ほとんどの方が3か月くらいで新たなプラークが作られてしまいます。
またプラークが作られやすいもうひとつの原因として、歯並びの悪さが挙げられます。その中でも歯と歯が重なって生えている「叢生」は、歯磨きが非常にし辛く、歯並びに問題がない人に比べてそのリスクは格段に上昇してしまうのです。
歯と歯が重なった歯並びは、上の前歯や下の前歯によく見られます。ガタガタの歯並びは歯ブラシの毛先が届きにくく、フロスを使っても汚れが落ちにくいため、歯並びが良い人と比べてプラークの形成が早く、その分リスクも高くなるのです。
歯列矯正はリスク改善の大きなポイント
歯並びが悪いと、プラークが付着しやすい分虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。このリスクを少しでも低減させるには、歯列矯正が最も有効です。歯並びを改善することでブラッシングがしやすくなり、その分プラークも形成されにくくなります。
歯列矯正は見た目の改善だけが目的と思いがちですが、歯並びを良くすることでお口の中の環境を保ちやすくするという、非常に重要な役割を持っています。
このように歯並びの悪さは虫歯や歯周病といったトラブルを招きやすく、時には深刻な症状を引き起こしてしまいます。歯並びが悪いと自覚のある方は、これからのお口の健康維持についても考えてみられることをお勧めします。