
ワイヤー矯正は、矯正治療の中でも最も一般的な方法のひとつです。あらゆる症例に対応できますが、いったいどのような特徴があるのでしょうか。今回は、ワイヤー矯正のメリットとデメリットを中心にお話をいたします。
あらゆる症例に対応できるワイヤー矯正
歯は歯根膜という膜によって骨とつながっています。歯根膜には骨を吸収する細胞と新しく骨を作る細胞が存在し、常に骨の新陳代謝が行われています。ワイヤー矯正では、力を持続的にかけることでこの新陳代謝が起こり、歯が移動します。このため、マルチブラケット矯正はほとんどすべての症例に対応でき、複雑な歯並びや大きな噛み合わせの問題にも有効です。大きく歯を動かす必要がある症例、抜歯を伴う症例は、ほとんどの場合ワイヤー矯正となります。
ワイヤー矯正のメリット
幅広い症例に対応可能
重度のガタガタ、出っ歯、受け口、過蓋咬合や開咬といった噛み合わせのずれなど、ほとんどすべての症例で適応できます。複雑な歯の移動もコントロールしやすいのが特徴です。
計画通りの精密な歯の移動が可能
ブラケットとワイヤーの組み合わせにより、個々の歯の回転や傾きも調整でき、歯並びの仕上がりを精密にコントロールできます。
長期的に安定した結果が期待できる
適切に治療を進めることで、後戻りのリスクを抑えながら、噛み合わせや歯並びの安定した改善が可能です。
ワイヤー矯正のデメリット
幅広い症例に対応ができること、仕上がりの完成度が高いことからからメリットの多いワイヤー矯正ですが、デメリットも存在します。
装置が目立つ
ブラケットとワイヤーは歯の表面に装着されるため、目立ちやすいのが最大のデメリットです。ただ最近では審美面が考慮されており、半透明のブラケットや白いワイヤーを使うことで、目立ちにくくする工夫も可能です。
装着時の違和感や痛み
治療開始直後やワイヤーを調整した直後には、歯に圧迫感や軽い痛みを感じることがあります。しかし、これは歯が動き始めているサインであり、通常は数日で落ち着きます。
口腔ケアがし辛い
ブラケットやワイヤーは固定式のため、歯磨きが少し難しくなります。そのためむし歯や歯肉炎といったトラブルが起こりやすくなります。矯正期間中はフロスや歯間ブラシを活用した丁寧なケアが必要です。
治療期間が比較的長め
ワイヤー矯正の場合、治療期間は症例によって1年半から3年程度かかることがあります。ただし、正確に歯を動かすことで、将来的に噛み合わせが安定し、健康な口腔環境を維持しやすくなります。
しっかりと歯並びを治すために最適なワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、目立つ装置や初期の違和感などのデメリットはあるものの、複雑な歯並びを改善できる確実性の高い治療方法です。歯並びの乱れを正し、噛み合わせを整えることで、見た目だけでなく、むし歯や歯周病の予防、全身の健康維持にもつながります。
最近では目立ちにくいオプションが増え、治療中の見た目や日常生活への影響も軽減できるようになっています。ブラケットとワイヤーを使った矯正治療は、歯並びの悩みを根本から改善し、健康で美しい口元を手に入れるための信頼できる選択肢のひとつと言えるでしょう。ご自身の症状に合った治療法で、きれいな歯並びと健康なお口を手に入れましょう。