
食べる・話す・飲み込むといったお口の機能は、子どもの成長に欠かせない大切な力です。しかし近年、それらが十分に発達していない「口腔機能発達不全症」の子どもが増えています。気づきにくいサインを見逃さず、早めに対策することが重要です。今回は、そのリスクと予防・改善についてお話いたします。
子どもの「口腔機能発達不全症」とは?
子どもの「食べる・話す・飲み込む」といったお口の機能が十分に発達していない状態は、口腔機能発達不全症と呼ばれ、近年注目されています。口腔機能発達不全症は見た目では分かりにくいことも多く、日常の中にサインが隠れているため、気づかれにくいのが特徴です。
例えば、「食べるのに時間がかかる」「あまり噛まない」「やわらかいものばかり好む」といった様子が見られる場合、お口の機能がうまく育っていない可能性があります。これは、舌や唇、頬などの筋肉が十分に使われておらず、発達が不十分なことが原因とされています。
このような状態を放置すると、単に食事の問題にとどまらず、さまざまな影響が出てきます。まず、口の周りの筋肉バランスが崩れることで、歯並びや噛み合わせの乱れにつながることがあります。さらに、顔のゆがみや発音のしづらさなど、見た目やコミュニケーションにも影響を及ぼす可能性があります。
また、口腔機能の低下は全身の健康とも深く関わっています。しっかり噛むことができないと、唾液の分泌が減少し、むし歯や歯肉炎のリスクが高まります。さらに、咀嚼不足は脳への刺激が減ることや、消化機能への負担、肥満傾向などにも関係するといわれています。
口腔機能発達不全症、考えられる原因とは?
将来的にも様々な悪影響が懸念される口腔機能発達不全症ですが、考えられる原因としては、離乳期にうまく「噛む・飲み込む」機能を習得できなかったことや、指しゃぶり、口呼吸、舌の位置の異常といった習慣が挙げられます。また、やわらかい食事が中心になり、口の筋肉を使う機会が減っていることや、スマートフォンやゲームの使用による姿勢の乱れも、機能低下の一因とされています。
では、どのように予防、改善していけばよいのでしょうか。まず大切なのは、「よく噛んで食べる習慣」を身につけることです。噛む回数を増やすことで、口の筋肉が鍛えられ、機能の発達につながります。また、姿勢を正して食事をすることや、口をしっかり閉じる習慣を意識することも重要です。
さらに、口呼吸や指しゃぶりなどの癖がある場合は、早めに改善していくことが望ましいとされています。必要に応じて、お口や舌のトレーニングを取り入れることも効果的です。
そしてもう一つ重要なのが、歯科医院での定期的なチェックです。お子さまの食べ方や話し方、歯並びなどに気になる点がある場合は、専門的な視点で口腔機能の発達状況を確認することができます。早期に気づき、適切に対応することで、その後の成長への影響を最小限に抑えることが可能です。
口腔機能は、一度しっかり育てることで将来の健康にも大きく関わります。子どものうちから正しい習慣を身につけることが、将来の歯並びや全身の健康を守る第一歩となります。ご家庭でも日々の食事や生活習慣を見直しながら、気になるサインがあれば早めに歯科医院へ相談することをおすすめします。