歯科治療で使われる白いレジンは、歯科治療にとって最も使用頻度の高い素材です。歯の色と馴染みやすいのですが、このレジンはいったいどのくらい持つものなのでしょうか。今回は、歯科用レジンについてお話いたします。
使用頻度が多い、歯科用コンポレットレジン
歯科用レジンは、文字通り歯科治療で使われる樹脂であり、虫歯治療など最も多い頻度で使われます。コンポレットレジンとも呼ばれ、略してCRと呼ばれています。保険適用のため、安価で治療ができること、いくつかの色味がありご自身の歯と近い色味を選択することができるため、自然な仕上がりが期待できることが最大の特徴です。
以前は虫歯治療といえば、アマルガムという素材が使われていましたが、アマルガムは水銀を含むため毒性が強いことが懸念点でした。それ以降コンポジットレジンが普及し、アマルガムではなくコンポジットレジンによる修復が主流となっています。
レジンでできることは、虫歯部分を削った部分を詰める、少し欠けた部分やすき間の部分を補うなど、色々な症例で使われます。根管治療など大掛かりな処置でない限り、レジンで対応できることが多いでしょう。
歯科用レジン、耐久性はどのくらい?
日常の歯科治療で使われないことはないくらい、使用頻度の高いレジン。治療後は自分の歯のように自然に馴染んでおり、その仕上がりに満足される方がほとんどだと思います。
ではこのコンポレットレジンですが、どのくらい持つのでしょうか。
レジンは樹脂のため、色素や細菌が付きやすいといったデメリットがあります。そのため毎日の飲食により、少しずつ劣化が起こります。特にコーヒーや紅茶、赤ワインなどを好んで摂取される方は、色素がレジンに取り込まれてしまって変色しやすくなります。治療後何年か経ってふと「あれ?こんなに茶色かったっけ?」とびっくりすることもあるかもしれません。
また虫歯治療でレジンを使った場合、自分の歯とレジンの境目から虫歯菌が入り込んで、内部で少しずつ虫歯が広がってしまうことがあります。その際、レジンで詰めた部分が取れてしまうこともあります。
こういったことから、歯科用レジンの耐久性はそれほど長くなく、寿命は2~3年くらいが平均だと思われます。ただ口腔内の状況によって、もっと長持ちする方もあれば、平均寿命よりも短くなる方もいらっしゃいます。
再治療も保険のレジンでいいの?
変色・劣化したコンポレットレジンは、再治療で審美性や機能を取り戻すことができます。保険適用のレジンは安価で治療ができますが、数年後にまた同じようなことが起こる可能性が高いでしょう。小さな詰め物は保険適用のレジンでも十分対応できますが、前歯の被せものの場合は思い切ってセラミッククラウンに変えると、耐久性がかなりアップします。
保険適用のレジンは数年後に劣化が起こります。そういったことを見越して治療法を相談されてみると良いでしょう。