8020運動という言葉を耳にしたことがある方が多いのではないかと思います。この8020運動とは、80歳になっても自分の歯を20本以上残そうという運動です。歯を残すためには歯を残すためのお口の中の環境が大切になり、そのひとつとして歯並びが挙げられます。ではなぜ歯を残すために歯並びが重要なのでしょうか。
歯を失う原因は虫歯と歯周病だけではない?
歯を失う代表的なトラブルといえば、虫歯と歯周病です。どちらも症状が悪化すると歯を失ってしまうため、高齢者の方たちの中で歯があまり残っていない方の大多数は、虫歯や歯周病で歯を失ってしまったのではないかと思います。
しかし、歯を失う原因はこれだけではありません。実は歯並びが大きく影響していることを知らない人が多いのではないでしょうか。
実際に、8020運動を達成した方の80%以上が歯並びや噛み合わせに問題がないと報告されています。
言い換えると、歯並びや噛み合わせに問題がある方の場合、8020運動の達成は非常に難しいということになります。つまり歯並びの悪さが歯を失ってしまうことに大きく関わるのです。
歯並びが悪いとなぜ歯を失うリスクが高まるの?
ではなぜ歯並びや噛み合わせが悪いと歯を失うリスクが高くなってしまうのでしょうか。いくつか要因がありますが、まずは歯磨きがし辛いため、虫歯や歯周病の元となるプラークが溜まってしまうことが挙げられます。
歯と歯が重なった部分に歯ブラシの毛先が届かず、どうしても汚れが残ってしまいます。そこへ虫歯菌や歯周病菌が寄り付き、歯を溶かしたり歯周組織に炎症を引き起こしてしまうのです。
また噛み合わせが悪いと、同じ部位に負担がかかり過ぎてしまいます。そのため歯が割れてしまう可能性があります。歯周組織にも炎症が起きやすく、歯槽骨が吸収されて歯がグラグラになり、結果的に歯を残すことが出来なくなることも考えられます。
見た目だけでなく、将来的な歯の健康を考慮した矯正治療を
いつまでもご自身の歯で食事ができることほど幸せなことはありません。若い間はそのようなことを感じることはほとんどないと思います。しかし何十年か経ったとき、もしご自身の歯をたくさん失ってしまったら・・・?総入れ歯になってしまっていたら・・・?このようなことを考えると不安になりませんか?食べる楽しみはもちろん、いつまでも健康でいられるためにはしっかりと噛める歯が必要です。
虫歯や歯周病だけでなく、歯並びの乱れや噛み合わせの異常は歯を失う大きな原因です。見た目が気になるから治すだけでなく、将来的な歯の健康維持のためにも、歯並びや噛み合わせに不安があれば早めに専門医に相談しましょう。