歯周病

むし歯は「歯そのものが破壊され、歯を失う病気」です。これに対して歯周病は細菌により「歯を支えている歯槽骨という土台が破壊され、歯を失う病気」です。その原因となる細菌は、歯の表面や、歯肉についたプラーク(歯垢、歯苔)の中にいます。日常の歯のケアを怠っていると歯周病が進行し、歯の土台が致命傷を負います。入れ歯やインプラント等の処置が難しくなるばかりか、歯ぐきも痩せて周辺の歯にも悪影響を与えます。

歯周病は、痛みもなくゆっくり進行するのでほとんどの人は歯周病にかかっていることに気がつきません。35歳ぐらいから歯周病の進行が始まり、むし歯よりも歯周病で歯を失う割合が多くなります。45歳を過ぎると次第に失う歯が増えます。統計的に見ても歯周病によって5割もの歯が失われているといったおそろしい病気なのです。また、最近では「小学生の6割が歯肉炎にかかっている」といわれ、もう歯周病は大人だけの病気という認識ではなくなってきています。

歯周病は決して治療や予防できない病気ではありません。正しい知識を持ち、きちんと理解、ケアをすれば、健康な歯ぐきを維持し、清潔な口腔環境を保つことができます。

どうやって歯周病は
進行するのでしょうか

  1. 正常な歯肉

    正常な歯肉

    症状
    • 歯ぐきはピンク色で引き締まっている。
    • 歯みがきで出血しない
    • 歯がしっかりして動かない
  2. 歯肉炎(歯ぐきの炎症)

    歯肉炎(歯ぐきの炎症)

    菌が歯ぐきについて炎症を起こす。
    炎症により歯ぐきが腫れ、汚れがたまりやすくなる。
    自分のケアにより、正常な歯ぐきに回復出来る。

    症状
    • 歯ぐきの赤み、腫れ
    • 口臭
    • ネバネバ感
    • 歯みがき等で時々出血する
  3. 歯周炎初期(歯周組織の軽度な炎症)

    歯周炎初期(歯周組織の軽度な炎症)

    歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなり、菌が奥に入りこみ、炎症がひどくなる。
    歯を支える骨が溶け始める。
    自分でのケアは難しく、歯科医院での治療が必要。

    症状
    • 歯ぐきの赤みの悪化
    • 腫れの悪化
  4. 歯周炎後期(歯周組織の中等度~重度な炎症)

    歯周炎後期(歯周組織の中等度~重度な炎症)

    歯周ポケットがさらに深くなり、よりたくさんの菌がたまる。
    歯を支える骨はさらに溶ける。

    症状
    • 口臭悪化
    • 出血がひどくなる
    • 歯ぐきから膿が出る
    • 噛むと痛い
    • 歯が揺れる
  5. 歯の喪失

    歯の喪失

では、歯周病のセルフチェックを
してみましょう

  • 歯を磨くと時々、歯ぐきから血が出る
  • 朝起きたとき、口の中がネバつく感じがある
  • 歯と歯の間に物がよくはさまる
  • 歯がぐらぐらと動く感じがする
  • 口臭があるかもしれないと気になるときがある
  • 歯ぐきが赤く腫れたり痛むときがある
  • 冷たい水を飲むと歯がしみて痛い
  • 歯ぐきを押さえると膿が出るときがある

初期段階ではなかなか自分自身で気がつくような症状は出てきません。
以上のような症状があったら、歯周病の可能性がありますので、歯科医院で検査を受けられることをおすすめします。

また、次のような方には、
歯周病が起こりやすいことが
知られています。

  • 45歳以上の方
  • 喫煙者
  • 妊娠中
  • 糖尿病にかかっている方
  • 親が歯周病で歯を失っている

歯周内科治療歯周内科治療

治療方法について

歯周内科治療

今まで歯周病の治療といえば外科的な治療―歯石やプラークの除去、悪い歯ぐきの切除、抜歯などといった痛く辛い治療が中心でした。
そもそも歯周病は菌が原因なのであれば、その菌を薬で除菌すれば治るのではないかという考えで生まれたのが、最新の歯周内科治療なのです。

歯周内科治療とは、国際歯周内科学研究会が提唱した「お薬を使って歯周病を治す」方法です。

薬で治す歯周病顕微鏡検査のススメ 薬で治す歯周病顕微鏡検査のススメ

歯周内科の治療法について(国際歯周内科学研究会HPより引用)

歯周内科治療は位相差顕微鏡で、お口の中に感染している細菌・真菌・原虫などを特定し、動画管理システムに記録しそれらの微生物に感受性の ある薬剤を選択し、微生物叢を非常に綺麗な状態に改善することで歯周病を内科的に治す治療方法です。

治療前の非常に汚れた微生物叢が治療後は非常に短期間で綺麗に改善し、術前・術後の状態が一目瞭然に画像で示されるという利点があることが知られています。

また、はっきりと自覚できる程、歯茎からの出血や排膿が短期間で改善されます。以前は、長時間歯磨きや外科治療によって1~2年の治療期間でそのような綺麗な微生物叢を獲得していたのです。

微生物叢が改善されたら、歯石を除去します。その場合も、微生物叢が改善されていると、冷たいものがしみるというような症状が非常に少なくなることが知られています。

(なお、前歯においては短期間で歯茎が縮むので歯が伸びたような感覚が生じることがあります。そのような場合には残念ながら通常の治療では 元々骨が溶けている状態ですので改善は難しいようです。その場合は特殊な審美外科を行う必要があるかもしれません。)

  1. STEP1. 位相差顕微鏡による口腔内の細菌の検査が大切!

    まず、皆さんのお口の中からほんの少し歯垢を採取し、それを顕微鏡で観察します。 顕微鏡検査では歯周病菌やカビがほとんどの方に見られます。この検査によってお口の中に感染している細菌・真菌・原虫などを特定し、それに対する薬剤[抗菌剤(抗生物質)と抗真菌剤]を使用し、内科的に歯周病を治していきます。

  2. STEP2. 除菌ができたら歯石をとります

    歯周病の治療や予防には、歯についた歯石や歯垢を除去することも大切です。歯石や歯垢は細菌の塊です。歯周病の原因は菌ですからその歯石や歯垢は病気の原因といえます。 歯周病菌が増加すると歯周病が進行してしまいます。除菌後は歯石や歯垢が取りやすくなります。しみる感じも減り、歯ぐきからの出血もほとんどありません。

  3. STEP3. 歯周病は感染します

    歯周病が治ったら再感染に気をつけましょう。回し飲み、回し食い、箸の使いまわし、キスなどで再感染しますので注意が必要です。

  4. STEP4. よい状態を保つにはお口の中を清潔に保ちましょう

    お口の中が清潔であれば歯周病菌が感染する可能性は低くなります。毎日の歯みがきや歯科医院での定期健診などのメインテナンスが大切です。

歯周内科治療の効果

歯周内科治療による菌叢の変化

歯周内科治療による菌叢の変化

顕微鏡で見ると、口腔内にはたくさんの歯周病菌などが活発に活動しているのが確認できます。
それを薬で除菌すると、3~7日後にはとてもきれいな状態になっているのが分かります。

歯周内科治療によるお口の中の変化

歯周内科治療によるお口の中の変化

除菌前:歯のグラつき・噛むと痛む・歯ぐきの腫れ・口臭・出血 等
除菌後:歯ぐきが引き締まる・噛んだ時の違和感の改善・口臭、ネバネバ感が減少・出血がなくなる 等

歯周内科治療による1週間後の症状の変化

歯周内科治療による1週間後の症状の変化

国際歯周内科学研究会監修 [顕微鏡検査のススメ」より引用

治療器具・設備

位相差顕微鏡(ペリオセーバー)

位相差顕微鏡(ペリオセーバー)

菌の状態を動画像で映し出すことができます。さらに拡大表示したり、治療前と治療後の菌の様子を同時に見比べることができる機能を用いることで治療効果をよりわかりやすくご説明させていただきます。

炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザー

レーザーを歯茎に当てることにより、原因部分を直接殺菌・消毒します。

検査表

検査表

星野歯科医院では歯周病やむし歯の検査表をお渡ししています。歯と歯ぐきの状態が記入されているので、ご自分で確認することができます。

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